遺言書

 なるべく元気なうちに遺言書を書いておくのは良い事だとされているので、みなもすなる遺言書なるものを余もしてみんとてす。

 現金や預金はそない大した事ないやろけど、日本のお金をコンゴへ持って行ったらだいぶなるやろし、手間やけど私の第二の故郷、コンゴ民主共和国の赤十字へ全額寄付してんか。

 レコードやCDについては、心斎橋のPlantation丸橋氏へ全部寄贈する事とし、カセットやMDは、貴重な現地録音とか二度とないラジオ番組の録音が多いので、余のことを忍ぶよすがとして、心して全部聞かれよ。

 楽器は、打楽器は全部心斎橋のタムタム・カンパニー横沢氏へ、三味線と胡弓は神戸市兵庫区荒田町のキドヤへ寄贈の事。ヤマハの古いギターが一本あるが、これは母方より受け継いだものであるので日埜家へ返却されたし。

 蔵書については、美術書や写真集のうち、洋書は梅田の阪急古書の街のリブレリ・アルカードへ寄贈し、その他は適当に処分してもろたらええ。ただし、文庫や新書であっても、選りすぐられた希少本が多いので、その本の将来のためにも、然るべき業者へ手渡される事を望む。

 カメラやレンズなどの撮影用品は鳥取の福丸和久氏に、現像や暗室用品は芦屋のハナヤ勘兵衛へ寄贈されたし。

 家財道具とか上記以外の動産の全ては良きに図らえ。まあ大した値打ちはないやろけどな。

 自分自身の事も書かんなんらしいな。私は無宗教ゆえ、私の死体は仏教や神道、ましてやキリスト教をはじめ、いかなる宗教に属するいかなる儀式をへていかなる墓に埋葬することも相成らぬ。ええか、絶対にやぞ。万一死に損なって脳死あるいは意識のない状態から再起動する見込みのない場合には、生かしとってもエネルギーの無駄やから、とっとと殺しとくなはれ。クソのような臓器でも人のお役に立てるんであれば全部使てもろたらええ。でも脳髄はおすすめできませんな。たぶん神経もあかんでしょ。一切の判断は主治医に任せ、その判定に異議を差し挟むことも相成らぬ。他は適当にゴミ袋にでも入れてどのような形でも良いから自然に帰せるようにしてほしい。クソ日本の刑法は鳥葬を禁じとるから、一番の希望はチベットへ送ってもろて、然るべき機関の手によって鳥葬されることやが、まあ費用もかかるやろし無理せんでもええ。ゴミ焼却場にでも放り込んでくれ・・・あ、それもあかんのか。でも火葬場だけは御免やで。

 通夜や葬式は一切禁止。ごく親しい友人同士でどんちゃん騒ぎは是非やってくれ。ただし化けて出るかもよ。

 まあそんなもんやろ。思いついたらまた書くかも知れん。


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