「ハイチ 情熱音楽 ~音楽の楽園から、オールスターズがやってくる!~」@ 大阪厚生年金会館大ホール


「カリブ海ミュージック・クルーズ」の第1回公演

 これは、財団法人民主音楽協会(民音)が今年から新たにスタートするシリーズ「カリブ海ミュージック・クルーズ」の第1回公演としてハイチからミュージシャンと歌手10人を招聘する本格的なハイチ音楽のコンサートである。

http://ameblo.jp/latin/entry-10320566691.html

 なんで「浅草サンバ・カーニバル見物の旅」を早々に切り上げたかというと、このコンサートが行われているのを直前まで知らなかったからである。そう、知り合いのマニアに訊いてもほとんどみんな知らなかった。招聘もとの民音とは創価学会の外郭団体で、つまり学会から大量に動員がかかるので、別に一般に知らせなくても元は取れるのだ。彼等はそういう考え方をする。しかし、今回招聘されたメンバーはというと、これは本物のハイチの国営オーケストラともいえる面々、往年の「ミニ・オールスターズ」のメンバー、あるいはその流れを汲む、ハイチのコンパの熟練ミュージシャンたちである。それが来日していて、大々的に全国ツアーをしていることを教えてくれたのは、やはり古くからのミュージシャン友達のゲラッチであった。彼は神戸公演を見に行っている。私は、旅の最後の目的地に、茨城県東海村に住む、ジャズ・オーディオ・マスターの叔父を訪ねることにしていたのだが、まあ台風が来てたのもあんねんけどね、とにかくおそらくもう一生見られないハイチのコンパの本物の動く姿を見るために、最後は夜を徹して今日未明に帰り着いたのであった。これがなければ、茨城から房総半島を南下して、東京湾フェリーに乗って葉山の辺りを散策し、あわよくば富山へ行って「風の盆」で旅を締めくくってこましたろ思うとったんやが・・・
 あのね、このタイトルね、まあハイチの音楽などを知っている日本人は、よっぽど音楽道楽が過ぎて聞き込んどるマニアか、これが好きなどというものは、あらゆる偽物のワールド・ミュージックにゲロを吐き尽くして、胃が水しか受け付けん程に乾いた連中、まあ要するに非常に限られた一握りの人間でしかないからね、ハイチの音楽ちゅーか、ハイチってどんな国か知ってるひとは、ほとんどおらんと言うて過言でないやろ。ま、知らんもんに悪い印象植え付ける気はないけどね、ハイチが楽園とか、クルーズとか、このタイトルが日本人にもたらすイメージの通りの国やと思うたらとんでもないマチガイでね、そこんとこを、こういうイメージでございます、楽しいでしょ、エキゾチックでしょ、といいたくてその切り口で売ろうとしている招聘もとと、ハイチはもう昔のハイチじゃありません、カリブ海に浮かぶ音楽の楽園です、と言いたいハイチという国の利害関係が一致してね、ほんで成立したジャパン・ツアーやということはありありとわかった。だってさあ、「ランバダ」なんて、普通、やる?
 まあそんなことはええねん、どんな売り方しようと、どんな受け取り方しようと、やってるミュージシャンは、正真正銘の「ミニ・オールスターズ」とその流れやったから、もちろん1970年代の黒々とした混沌の雲わき起こるこってりしたコンパは望み得なかったけど、まあ「ミニ・オールスターズ」はもともと軽めのコンパやから尚更やが、十分往年のコンパ・ヂレクトの匂いプンプンする名演を、まったりと聴かせてもらいましたぜ。実は開演時刻を見間違うててね、たぶん最初の2曲くらい聴けんかったと思う。知り合いを介して取ってもらった席の端っこで踊り狂ってた、我が良き同士の吾郷ケンイチ・ナニワーノ師曰く、「一発目からKompas Direct Original」やってん、その瞬間に射精してしもたわ・・・とは言うてへんかったけど、とにかく全く手抜きなし、そのかわり国策音楽の匂いのおまけ付き。往年のRichard Dourseau・・・をいをい民音よ「リチャード・ドゥオゾウ」はないやろ、フランス語圏でっせ・・・の流麗極まりないアコーディオンとキーボードは、ほんまに涙が出るほど聞き惚れた。しかしね、あの広大な厚生年金会館大ホールの中で、彼等の音楽に心して踊り狂ってたのは、ほんまに、いやほんまに、最後部席に並んだ我々6人だけやった。他の観客は、明らかに動員されたおっさんおばはん、途中で席を立つ失礼な輩も結構多かった。もったいな・・・、ほんまもったいない、もっとちゃんと情宣しろよ、興味ある奴は結構オルんやから・・・

Posted: 火 - 9月 1, 2009 at 10:30 午後          


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