手作りパイプ・オルガンお披露目会


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 Forro Oceloteというバンドでアコーディオンを弾いている小野田君という人がパイプ・オルガンを自宅に作っているらしいという事は風の噂に聞いていた・・・「予定より遅くなってしまいましたがようやく完成の目処がたってきましたので『オルガン披露会』を開催します。・・・是非お越しいただきたいのですが、ご都合をお聞かせください。」ふんふん・・・えっ??・・・パイプ・オルガンが完成ぃ ?? ほんまかいな、また金魚をクジラほどに言うやつの大袈裟な話やと思うてた。でも、小野田君は実直で心の広い人物である。どのくらい実直で心の広い人物であるかというと、ピリピリの、あのやりにくい2枚目のアルバムに2曲もアコーディオンを入れた !! ばかりか、そのうちの1曲は、明らかにピリピリがリズムの取り方を間違えてギターを弾いているにも関わらず、なんとその間違いを活かして実に見事な伴奏を入れた・・・それほどに実直で心の広い人物なのである。その実直で心の広い人物である彼が大袈裟な法螺話でひとを誘う事などあり得ない・・・すると、ついに自宅の壁をぶち抜き、二階の床をたたき落として荘厳なカテドラルでも建造したか、そこまでいかずとも吹き抜けの玄関に礼拝所でも建てたか・・・なにしろ全然想像もつかなかったのである。「いや、木製1列パイプの簡単なものです。リードオルガンの上にパイプが並んでいる姿をご想像ください。」やて、それがまた全然想像出来んのや・・・




 じゃーん、いやあかわいらしい、なんともかわいらしい・・・しかし緻密な・・・まことに根気のいる仕事であったろうことが想像出来る。とても私に真似の出来ない、というか、私の最も苦手とするところである。小野田君は木工の達人であって、2階に見事な工房がある。工作機械や工具が多種取り揃えられていることはいうにおよばず、それらがいつでも使用出来るように工房内が見事に整理整頓されている。とても私に真似の出来ない、というか、私の最も苦手とするところである。このパイプ・オルガン、どうなっているのかというと、足踏み式のふいごがあって、足下にふたつのペダルを交互に踏むと、鍵盤の下にあるふいごに空気が供給される。ちょうどアコーディオンのような蛇腹になっていて、空気が入って行くとどんどん持ち上がる。ふいごの上部は重しになっていて、ふいごの出口は鍵盤の下の空間に繋がっており、鍵盤のキーを押すと、それに接続されたパイプに空気が入るようになっていて、それで音が鳴る。いわば雅楽で使う「笙」のような原理である。しかし、それが59鍵 (だったっけ??) の鍵盤にひとつずつあり、それぞれに厳密に規定された音程を発するパイプがついているのだから、その忍耐たるや、まったくとても私に真似の出来ない、というか、私の最も苦手とするところである。
 さてこの日は、実は私のところで味噌・キムチ用薬念醤・干し芋作りをして一年納めのFarminhosにする予定だったのだが、こんなお誘いを受けたのでイベントごと出張したのである。小野田君としては、万事整えたあとで客を迎えたかったのであろうが、いきなり私のようながさつものが強引にイベントを出張させると言ったものだから、断るに断りきれなかったのではなかろうか、それでもいやな顔ひとつせずに面白がってくれるところがまた、彼の実直で心の広い人物たる所以である。


 (写真は小野田氏)

 小野田邸のキッチンがまた実に素晴らしく、まるで使った事もないかのように全てがピカピカなのである。とても私に真似の出来ない、というか、私の最も苦手とするところである。ご覧のテーブルやカウンター、その他家具調度はおそらく全て小野田君の手によるものと思われ、工作精度、細部の仕上げなどホレボレするほどのできばえである。とても私に真似の出来ない、というか、私の最も苦手とするところである。そんなところへがさつで埃だらけの、あろう事か土塊さえ目にとまるような、私んとこの調理道具などを持ち込み、先ずは味噌作りからと大豆を煮ては吹きこぼし、写真のごとくキムチ用薬念醤をミキサーにかけてはそこらを汚し、ほんの数十分で小野田キッチンに生活臭をなすり付けたのであった・・・が、さすが実直で心の広い人物、ささっと手早くそこらを掃除し拭き浄め、直後にはまるで使った事もないかのように全てがピカピカな状態に戻ったのである。とても私に真似の出来ない、というか、私の最も苦手とするところであることよのう。


 (写真は小野田氏)

 さてこの日の小野田邸のメイン・イベントは、実はForro Oceloteの忘年会であった。ちょうどこの日はChove Chuvaの納めのライブと忘年会、さらにリオから帰国した熊本尚美氏が天満でライブをしているというよるである。そんなひにここでこうしていて良いのであろうか・・・まあ楽しいからええやん。
 そのForro Oceloteのサイト・・・http://blog.livedoor.jp/ocelote


 (写真は小野田氏)

Posted: 日 - 12月 27, 2009 at 12:40 午前          


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