アキタコマチ脱穀臼摺


最後はヤケクソ人海戦術



 本日は、2週間天日に干したアキタコマチを脱穀し、出来れば精米して喰らおうという趣向である。といっても全量ではない。実は、大半は昨日のうちに機械で脱穀した。今日は手作業で脱穀して、食べられる状態まで持っていく作業を体験してみたいひとのために、参加人数に応じた量を残したのである。参加を希望したのは、JT Starsの3人と私だけであった。ところが、毎度のことだが昨日の夜になって参加希望者が激増し、最終的に15人になった。車の手配は出来なかった。というのは、今日はこれと並行して、Josephによる子どもたちへのマリンバ・ワークショップがあるからである。しゃあないし駅までの間を4往復した。天気が思わしくないので、稲を中庭まで運んで作業した。上の写真、手前が千歯扱き、向こうにあるのが足踏み脱穀機である。籾が飛び散るので、付属の鉄わくに農業用のビニールを張って覆ってある。足踏み脱穀機の姿についてはこちら をどうぞ。




 脱穀を終えた後、籾から籾殻を取り除いて玄米にする。この作業を、臼摺または籾摺という。現在ではほぼ完全に機械化されていて、手作業でやるには、専用の石臼を牛や男たちが数人がかりで回すほどの大掛かりな仕事である。実際に見た事はない。本日はそうはいかないので、少量を摺るときにする方法として教わったものをやってみる。写真の向こうでは、すり鉢で摺っている。その手前では、瓶に入れて棒で搗こうとして、力尽きたのか放置されている。その左手では、コンクリート・ブロックの上に籾を撒いてこすっている。その左手では、平らな敷石に籾を撒いてビール瓶を転がしている。結論からいうと、どのやり方も実に微々たる進捗であり、しかも玄米と籾と籾殻が混在し、それらを分別するのは気の遠くなるような作業である。最も有効な方法は、下の写真右手のように、バットの上にコンクリート・ブロックを置き、籾を撒いてからブロックの破片でズリズリこする。これが最も早いが、これでもごく微々たる量しか取れない。ではというので長いことやっていると、先に摺れたものが割れてしまう。そうならないうちに、下の写真のように、玄米を取り分ける必要がある。



 理屈としては、籾殻は一番軽いから、上のような「箕」という一種のザルに入れて振っていけば風に飛ばされて除去出来る。最も重いのは、まだ摺れてない籾であって、徐々に部分的に摺れた籾、玄米という具合に縞状に別れる。箕の先端ほど軽いものが集まるので、それらを集めて取り分ける。これがほぼ玄米。この頃から雨になる。ブルー・シートで屋根を作り、大部分を納屋に避難させた上で、少量を試験的に作業続行。JT Starsのみなさんは、別の穀物を別の暑い国で分別した事があって、実に見事な手さばきであった。



 そのころ母屋では、Josephのワークショップが始まっていた。立場上、私も掛け持ちで手伝う。



 一段落して戻ってみると、なんと全員参加の人海戦術により、一粒一粒手作業で玄米を取り分けていた。何がなんでもこの米を食って帰るつもりのようだ。



 暗くなるまで作業して、漸く3合の玄米を選り分けた。これを精米して炊いてみる。



 いやあ食いました。さして美味いとはいえなかったが、感慨は無量。国際色豊かな会だったが、このうち三人は、日本へ旅行に来ていたロンドン在住の旅行者。明日は東京へ帰るという。彼女らの心に今日の一日はどう留まったであろうか、楽しんではくれていたようだが・・・

Posted: 水 - 9月 23, 2009 at 04:42 午前          


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