ザイール・ヤ・バココ「第三の旅」


京大アジア・アフリカ研木村教授と面会

 かねてからリンガラ語を通じて、京大アジア・アフリカ研とは交際して頂いているのだが、このほど8月の末にコンゴ奥地へ調査に行かれる木村先生との面会がかなった。同い歳の研究者で、リンガラ語も話される。調査に行かれる先は、Wambaという村で、MbandakaとKisanganiを結んだ線の、3分の2ほどKisangani寄りにある。近隣の都市はBoendeで、ここには小さな飛行場がある。調査が目的だから、私のように流浪の民ではなく、設備や資料を携えてセスナで飛び、4WDで直行するという。数ヶ月の滞在との事だ。Mbandakaより東という事だから、RDCの東半分を実効支配する反政府武装組織の勢力範囲に近いが、昨年暮れにも調査に行かれたとの事で、まるで平和そのものという事であった。ただ、川を使った海運や、陸路の物流はほとんど内戦の為に破壊されていて、人々は一週間くらいかけて数百キロ先のKisanganiまで物資を運び、売ったり交換したりして生計を立てているという。移動手段が辛いが、リンガラ語が話せれば、また音楽が好きであれば、やはりそこはなんとでもなるし、コンゴ人は日本人に対して非常に良い感情を持っているから、そんなに危険というほどの事はなかろうという見解で一致した。8月後半といえば、私がMai NdombeからMbandakaに到達しているか、またはコンゴ河を下りはじめている頃なので、すれ違いになる可能性があるが、早くKinshasaに着いていれば、合流してお手伝いもしたいものだ。先生の研究については良く存じ上げないのだが、Wambaにも、また私が訪ねる予定のMai NdombeからMbandakaへ抜ける途上にあるLac Tumbaという湖のほとりにも、CARPEという中央アフリカ地区の環境計画を推進する組織が基地を持っていて、そこは環境問題や持続可能な生活のあり方を考えたり、文化人類学に興味のある研究者が活動の拠点にしているところで、行ってみると良かろうと奨められた。この辺りの人たちは明るく親切で、子供達はものすごく元気だし、皆が助けて旅を見守ってくれるという。私もカサイ州の奥地で同じような体験をしているから良くわかる。コンゴ奥地の情勢について、具体的な話を聞けたのは大きな収穫であり、旅の実現に向けて力強く後押しされたような気がした。先生の著書まで頂いて、得るところの多い有意義な訪問であった。

Posted: 土 - 2月 16, 2008 at 10:20 午後          


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