ザイール・ヤ・バココ「第三の旅」


ブラジル大使館にてPALOP諸国大使を招いてのパーティー


 昨日、東京のブラジル大使館にて、PALOP諸国、すなわちポルトガル語を公用語とする国々の大使を集めてのパーティーがあり、それに友人の歌手松田美緒が呼ばれて歌う事になったので、音響オペレーションのお手伝いをする為に上京した。目的はその仕事ではなく、そこにアンゴラ大使館関係者も同席するという事から、アンゴラに関する情報を得る事であった。その目的は期待以上に達成された。大使本人に会えた事も収穫だったが、何よりも文化担当官という役職の女性に会えた事が良かった。彼女は、典型的なバントゥー系美女であり、アンゴラの音楽をこよなく愛し、それを実際に見聞する為に訪ねて行きたいと申し上げると、情熱的に語ってくださった。非常に熱意があり、内戦と地雷の国という可愛そうなイメージから一刻も早く脱却し、経済的にも文化的にも独立した、誇りある国という印象を確かなものにする為にも、音楽の面からも是非見てほしいとの事だった。M'banza Congoを経由する陸路移動の件を申し上げると、観光や商業としては、寧ろ南部の方が発展しているが、文化、特に音楽、更にコンゴとの関わりについては、断然そのルートはオススメである、特に古都M'banza Congoの遺跡については、ゆくゆくは世界遺産に登録しようと計画されていて、是非見学されると良い、ただし、道中の安全の確保と交通手段の見極めについては、くれぐれも注意してほしいとの事だった。南部に比べて、私の訪れる北部は、やはり治安上幾分不安定らしい。しかし、いくらか明るい見通しもあって、N'zetoから北のRDC領Mwandaからアンゴラの飛び地Cabindaにかけては、充分リンガラ語が通じ、特にM'banza Congoではコンゴ語 (KIkongo) とならんでリンガラ語は普通に話されているとの事だ。それならばほとんど心配はあるまい。ただし物価は不安定で高く、特にホテルやレストランは信用出来ないし高くつきすぎるので、地元の人に混じって民家に泊まったり食事させてもらった方が断然良い、リンガラ語が話せるのなら大丈夫よ、と仰ってくださった。首都Luandaは、信じがたい物価の高さなので長居は無用、音楽も、極高級なサロンでしかやっていないから、交流はそれほど望めない。近隣諸国と比べても、ちょっと違う世界に見えるかもね、との事だった。彼女は接客に忙しくて、それ以上は話せなかったが、日本人のアシスタントを紹介してくださり、彼女が意向を引き継いで、旅行のアレンジを手伝ってくださる事になった。有り難い限りである。更にいくつかの収穫があった。松田美緒の友人で、内戦下のアンゴラを取材した写真家と会う事が出来たのである。彼の話によると、首都は緊迫した雰囲気だったが地方はのどかで、みんな親しみやすくて旅行しやすかった。ただ、交通手段や宿泊施設はほとんどない状態で、地元の人たちに頼る以外にないとの事。でも、行ってみる価値は充分にあるという。これより前に、もう少し若い報道写真家とも、ネットで知り合っていたが、やはり同じような反応だった。ふたりとも南部の主要都市を歴訪していたので、状況は少し異なると思われるが、ほとんどまったくといって良いほど情報のない国だから、これだけ生の声が聞けたのは大いに幸運だった。

Posted: 火 - 2月 19, 2008 at 10:50 午後          


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