なまぐさの権化・高野山


三日間歩き続ける練習

 秋に大峰奥掛を果たしてみたい思い、その予行演習の意味を込めて、三日間の泊まりがけで高野山へ登る事にした。ルートは「三谷坂」とよばれる、妙寺から高野山へほぼ直登する道で、途中に天野の里という隠れ里を通る。地図から見て、健脚ならば一日で軽く高野山へ達するコースだが、道すがらの風景や自然、天野の里の散策に時間を取りたいという事もあって、初日は天野の里から上古沢へ降り、電車で九度山まで戻って宿泊、二日目に続きをやり高野山の宿坊に泊まって、三日目は「女人道」と呼ばれる高野山周囲の道をめぐる事にした。高野山へ徒歩で参詣する山道はいくつもあるが、この「三谷坂」はなかなかのものである。緑深き「木の国」日本の正しい山里の風景を満喫できる、諸外国の方々に自信を持って誇れる景観ではないかと思う。「三谷坂」は、天野の里を過ぎると「高野山石道」に合流するのだが、サブ・ルートであるだけ野趣に富んでいてなかなか良い。また、上古沢との往復で見た果樹園の風景も捨てがたかった。特に、ガイドマップには出てこない、上古沢駅から笠木峠経由高野山石道という行き方は、笠木の集落までの途中の風景や路傍の自然が実に素晴らしい。気の向いたところで写真などとりながらの軽いトレッキングであった。
 さて、高野山に宿泊する場合、宿坊はどこもクソ高いので貧乏人にも泊まれる適当な宿はないものかと、関係諸機関に問い合わせたが宿坊しかないというので、ようやく庶民的な価格の寺を探し当てて宿泊したのだが、まあようカネとれるなちゅう感じですな。山内の散策を終わって寺内町の散歩中に「高野館」という一般旅館(0736-56-2245 高野山445)を見つけたが、こいつぁおすすめですぜ。おかみさんも上品やし構えもこぎれいで、素泊まりで5千円そこそこという事や。「お宅を存じ上げませんでしたんで今回は宿坊をとりましたが、次回来る時は利用させてほしい・・・」て言うたらえらい喜んだはったわ。宿坊いうてもねえ、万人に開かれた仏の家というよりは、金持ちに開かれた欲得の宿、どこも非常に感じが悪い。坊主連中の顔も嫌やし下男も尊大やし、だいたい料金が高すぎる。法話聞けたり早朝の勤業に参加できたり精進料理食べれて、仏に帰依する非日常的な時間を体験できるのが「売り」らしいけど、あんなに欲の皮の突っ張った坊主どもの話なんか聞きたないし、飾り立てられた精進料理喰わされるくらいやったら「灘しん」借り切った方がよっぽど値打ちあるわ。おまえらには用はないねん、そこにある左甚五郎の作を見せんかいと頼んでも、「宿泊者でないと・・・」なんてどこも断りよる。美術品や庭ぐらい公開したかて罰あたらんと思うけどなあ。ほんま一大商業施設やね、俗界ですわ。手が込んでるだけ余計タチ悪い。山はよかったけどね・・・(写真は「二つ鳥居」から見た「天野の里」)。


Posted: 土 - 6月 2, 2007 at 01:10 午前          


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