コンビに潰れる


そのかわり・・・


 近くのサークルKが閉店した。田舎暮らしを始めたのに、なんとこのコンビニが、今まで住んだうちで一番近いコンビニだった。一年住んでいて数回しか行ったことはなかったが、タバコや切手はぶらっと買いに行けてこそしかるべきである。ある日こんなことがあった。おっちゃんのNPO活動で、いかに作物を食べられるような状態にするのが大変なことかを子供達に体験させる主旨のイベントがあって、たしか石窯に火をおこして手作りピザを焼いて食べるという内容のものだったのだが、生地の醗酵が遅れたのか火加減が安定しなかったのか良くわからないが、お昼を過ぎても到底食べるめどが立たず、子供達が腹を減らして荒れはじめた。私はここへお世話になりはじめた当初で、別の庭で楽器を整理する棚を作っていたのだが、そこへ何人かの子供達がやって来て、「材料が足りないから買い物に行って来てとおっちゃんが言っている。」といって、メモ書きを私に見せた。パンやおにぎりに混じってお菓子も書いてあって、ちょっと変だなとは思ったが、なんか向こうはパニクってるみたいだし、黙って言われたものを買って帰って来た。すると、私がおっちゃんのところへ行く前にその子供達が呼び止め、「僕たちが渡してくる」というので、そのまま袋ごと渡して私は自分の作業に戻った。そのとき、とある付き添いのお母さんが、同じコンビニの袋を持って車で帰って来るのが見えた。自分の子供を呼んでいる。ははあ、俺はまんまとあのガキどもの使いっ走りをやらされたわけだ。小学生だからこの程度で済むが、ことが中学生相手だとこうやんわりとは済まない。彼等はどこでどう手に入れてくるのか、まあ私も中学生の頃はそうだったが、いくらかの金は常に持っていて、行事の途中であろうがなんだろうが、さっさとコンビニまで走って好きなものを買ってくる。こうして、食の大切さを教えようとするNPOの試みは根こそぎ粉砕されてしまう訳だが、まあコンビニが潰れたことで、考えようによっては良かったとも言える。俺は不便やけどね。


 その帰り、散歩がてらに近くのライブ・ハウスによってみた・・・ああっ、潰れとる。このライブハウスは、もちろん今まで住んだうちで一番近いライブハウスである。田んぼの真ん中にあって、このプレハブの中はゴージャスなコンサート・ホールに成っていて、なんとDIAPASONの年代物のグランド・ピアノまでおいてあったのだ。出し物はクラシックが中心で、大まじめな室内楽を、毎月夜中の12時から始めて明け方まで興ずるという、いやいやぶっとんだライブハウスだったのだが、ううむ、遊び相手がまた減った。


 しかし、捨てる神あれば拾う神あり。国道沿いの居酒屋が、なんとインド料理屋に変身していた。この外見のチープがええね。戸は居酒屋当時のまま、ベンガラ格子もそのままに、花だけ飾って祝オープン! いやあうれしい。

Posted: 金 - 11月 16, 2007 at 11:53 午後          


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