新名神 (高槻ー神戸) 建設予定地


神戸JCT.--武田尾



 せっかく道場に移り住んだのだから、見過ごしてしまいがちな身近な景観を写真に残しておこうと思う。「新名神高速」が、いよいよ事業化された。これから人口も減り、車も減るというのに、たかが一年に何回か渋滞する高速道路のバイパスを建設するために、取り返しのつかない自然を広範囲に壊してしまう事業が、実行に移されたのである。まえにもちらっと書いたが、この計画線は、有馬温泉の北側から、美しい武庫川渓谷を姦通し、摂津の山里をくりぬいて、高槻の旧街道をめちゃめちゃにしてしまう路線計画である。その中には、私が幼少の頃より自転車で慣れ親しんだ、切畑から広根に至る、実に奥ゆかしい隠れ里的な谷間の小川が含まれていて、そこは個人的に想い出深い母の懐のような懐かしい場所であるのみならず、日本にも希有な湧き出る泉の周りに緑が柔らかく踊る光の楽園がある。そこに上のような看板が立てられて何年も経つが、いよいよ事業化とあっては、やはりこの建設予定地を、潰される前に写真に残そうと思うわけである。



 起点・・・ちゅうか、「名神」やから終点になるんかな、まあとりあえず私の撮影の起点はここ、神戸JCTである。いや、関西スーパーが写ってるねんけど、その向こうに高速の高架が見えるでしょ。あれがジャンクションの一部なのですよ。いわばこの一帯は、神戸JCTに取り囲まれているような格好になっとるんですなあ。



 その山を東へ越えるとちょっとした谷になってて、神戸電鉄が走ってる。その向こうの山を高速道路は越えて行く。



 その谷の袂、神戸電鉄の二郎駅の近くには、西を巨大な岩壁に、東を竹やぶに挟まれた、静かなせせらぎの道がある。



 その「向こうの山」を越えて、高速道路はこの辺に出る。ここは「平田」という旧街道に面した集落であって、近辺では、旧の道場川原村の宿場町に次いで、昔ながらの風情の残る集落である。



 この集落の東側も浅い谷筋になっていて、田園が広がっている。たいてい高速道路が新設される場合、高圧線に沿って建設されることが多い。と言うのは、もともと高圧線も都市間に効率よく送電する必要があるため、同じようなルート取りがなされているし、高圧線に沿っておけば、用地取得が容易であるという事情もあるのであろう。



 その山を越えると、名勝「百丈岩」へ通じる船坂川の狭い谷筋を渡る。沿道には民家もあり、写真のような別荘地もみられる。静かなたたずまいである。張り替え忘れたのか、看板は旧名称の「第二名神」になっている。



 その「百丈岩」である。



 そこを越えると、蛇行する武庫川に出る。道路は、武庫川上流浄化センターを跨いで、武庫川渓谷、旧国鉄福知山線の廃線跡に並走する。
http://web.pref.hyogo.jp/wd18/wd18_000000025.html



 その対岸は、またこの世にあるまじき美しき緑のトンネルである。その突き当たり、川下川ダムの袂で本日の探索は終わり。工事看板に、完成予定のイメージが見える。かなり高い位置を跨ぐようなので、この辺りの渓谷美も一変することだろう。


Posted: 日 - 8月 16, 2009 at 11:10 午後          


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