チベットになにがある?


何故隠そうとする?

 あまりこのブログで社会的な事は書きたくないのだが、私自身あまりにもチベットの現代史について知らなさすぎた事を痛感する。なぜダライ・ラマ14世がインドにいるのか?、なぜチベットが中国の一部になっているのか?、インドのラダック地方のチベット人は?、ブータンという国は?、ネパールという国は?・・・改めて高校の世界史教科書をひも解いてみたが、そこは第二次世界大戦の戦後処理の大混乱から東西冷戦への世界潮流を追うばかりで、ほとんどまったく記述されていなかった。中国が、インターネットの動画配信サイトのYouTubeを規制したという。「偏った」ニュースが配信されているからだと。そのYouTubeで「Tibet」をキーにして検索してみると、あふれんばかりの中国発のプロパガンダ映像・・・曰く、「チベットで起こっている事は反体制暴動である。チベットは300年の長きに亘り歴史的に中国の一部であり、中国が祖国である。ダライ・ラマ14世は祖国分裂活動を煽動し、チベット人民に漢族を襲撃させている。これを平定する事は、祖国中国の責務であり、世界平和のために不可欠当然の行動である。祖国分裂主義者と対話せよという国々がある。彼等に問いたい。フランスは海外県をいくつ持っているか? 沖縄やアイヌは古来日本に属していたか? ハワイやグァム島はアメリカ大陸からどのくらい離れているか? アフリカの国境線は民族の分布を反映しているか? 南米大陸は? カリブ諸国は? 等々等々・・・ これらが一斉にチベットと同じ行動を起こせば、世界はどうなるとお考えか? 中国は世界の秩序の安定のために、いま戦っているのである。」といって、チベット人が商店を襲撃するシーンを延々と流し続ける。さて、ではチベットは歴史上いつから中国の一部であったのか? ほかに資料を持たないので、やはり高校の世界史の教科書をひも解いてみると、清王朝が現在のチベットである西蔵を征服したのが1724年とされている。なるほど300年近く?前だ。しかし清という王朝は、漢人の国ではなく、支配階級は中国北方民族のツングース系であって、漢人が彼等に支配された関係であったはずだ。清が崩壊して中華民国が建国されたとき、チベットまでは国民党の勢力は及ばなかった。文化大革命があって、共産党が実質的に中国大陸を支配し、「長征」の名の下にチベットを侵略してラサで87,000人のチベット人が虐殺されたのは1959年である。この時点で中国がチベットを支配したと解釈するならば、歴史的にチベットが中国の一部になったのは50年そこそこ前である。ではチベットがチベットとして独立していた事があるかどうか調べてみると、これは非常に古く、唐の時代7世紀前半には、すでに「吐藩」という勢力が北の突厥やウイグルとともに唐を悩ます外部勢力として登場する。以後、彼等は清に征服されるまで、強大なモンゴル帝国にも屈する事なく、1100年近く独立を貫いている。時間の長さだけで単純比較すれば、チベットが独立国家であった時代の方が圧倒的に長い。中国は、自分に都合の良い部分だけを例に挙げて、歴史的事実を主張しているように見える。その中国内のチベット、すなわちチベット自治区を地図で見て驚いた。中国の、いわゆる「中原」より遥かに広大である。しかも、そこへ入る道筋は、空港がひとつ、自動車道路が数本と、近年完成した西蔵鉄道のみという事実。実質的には、空港一カ所のピンポイント・アクセスであると言えよう。つまりチベット人は隔離されている。そこへ入ろうとする外国人をコントロールするには、空港一カ所を押さえれば良いように出来ている。そして、情報は中国政府に拠ってほぼ完全にコントロールされていて、ジャーナリストの入国を拒否している。そのなかで非難の応酬が続き、ダライ・ラマ勢力側は人権蹂躙を主張し、中国政府は反体制暴動を主張して譲らない。これはチベット自治区の中に、何かとてつもない利権が潜んでいるとしか考えられませんな。地下資源か、世界中があっと驚く軍事施設か・・・ アフリカでもどこでも、世界中の国が陰で手を汚し合い、殺し合いを繰り広げる場所には、地下資源があると相場は決まっとる。表向きはきれいな顔しとっても、飯は喰わなあかんし、そのために犠牲をどこかになすりつけんと、きれいな顔できませんからな。中国は、国家事業として、なにが何でも今年のオリンピックを成功させたいようだが、その1959年の一斉蜂起から10年の節目とオリンピックが重なったのは誤算やったんでしょうな。もう4年辛抱しとればこんなことにはならんかったやろうに、これからいろんな形で抗議行動が広がるでしょうが、こうして調べて行くうちに、チベットという国や、民族や、精神的なあり方というものに、大変興味をそそられますな。それは中華思想とは明らかに違うし、インド・イスラム・東南アジアとも異質ななにかである。中華思想と言えば、ラジオかなにかの国際的世論調査で、「自分の国が世界一と言えるか?」の問いに、世界一のパーセンテージで「Yes」と答えたのが、その中国人だったという。しかも90%を超える高確率であったのには笑ってしまった。いや、笑い事ではないかもね。

Posted: 水 - 4月 2, 2008 at 10:56 午後          


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